2023/09/10

派遣社員はボーナスがもらえない?付与されるケースとは

派遣社員はボーナスがもらえない?付与されるケースとは

ボーナスは、一般的に毎月の給料とは別で企業の業績に応じて支給されます。正社員であれば通常、年に1~2回ボーナスを受け取れますが、派遣社員として働く場合も同様にボーナスの支給はあるのでしょうか。

派遣社員のボーナス支給の有無については、同一労働同一賃金という制度が関係してきます。働き始めてから「ボーナスを受け取れなかった」と後悔することがないよう、あらかじめこの制度の影響や派遣社員の働き方を把握しておきましょう。

この記事では、派遣社員のボーナス支給について解説します。

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派遣社員でもボーナスはもらえる?


ボーナスの支給は法的に義務付けられているわけではなく、支給額や計算方法も企業によってもさまざまです。しかし、多くの企業では従業員のモチベーション向上・維持のためにボーナス制度を採用しています。

では、派遣社員であってもボーナスはもらえるのでしょうか。

派遣社員へのボーナス支給有無は会社によって異なる

そもそも、ボーナスの支給は法律で定められたものではありません。そのため、ボーナスを従業員へ支給するか否かは各企業に委ねられています。

また、支給時期は毎年6~7月と12月とするケースがほとんどですが、いつ、どのような評価基準で、給与何ヶ月分のボーナスを支給するかなどのルールは企業によって異なります。

なお、ボーナス制度のある企業の場合、正社員や派遣社員、パート・アルバイトなど雇用形態の違いだけでボーナス支給を決めることは法律で禁止されています。よって派遣社員も、派遣元企業の設けている支給条件を満たせば、ボーナスを受け取れます。

ただしボーナスが支給されることは少ない

上記で触れたとおり、条件を満たせば雇用形態に関わらずボーナスを受け取れます。しかし、実際に給与とは別に、年1~2回まとまった額のボーナスが支給されるといった派遣社員は少ないでしょう。派遣社員の給与には、あらかじめボーナスや交通費といった手当が含まれていることが多く、そのぶん給料が高めに設定されているためです。

ただ、まとまった額でのボーナスの支給がないとしても、手当を含め一定の給与をもらえる派遣社員は、年間の総支給額で言えば正社員と大差ない、あるいは正社員よりも高い給与になることもあり得るでしょう。
なぜなら、正社員のボーナスの支給の有無や支給額は会社の業績によって変わるからです。

また、派遣社員にまとまった額でのボーナスが支給されないケースが多いのは、2020年に施行された「同一労働同一賃金」も関係しています。「同一労働同一賃金」は、正規雇用労働者(正社員)と非正規雇用労働者(アルバイトや派遣社員など)の間で不合理な理由によって、雇用形態による待遇差が生じないようにルールを定めたものです。

同一労働同一賃金の導入は、同一企業・団体におけるいわゆる正規雇用労働者(無期雇用フルタイム労働者) と非正規雇用労働者(有期雇用労働者、パートタイム労働者、派遣労働者)との間の不合理な待遇差の解消を目指すものです。

厚生労働省「同一労働同一賃金特集ページ」

派遣社員には「派遣先均等・均衡方式」と「労使協定方式」の2種類の賃金方式が定められています。雇用形態による待遇差を生まないためにも、派遣元企業はいずれかの方式を選択しなければなりません。

このうち、ボーナスを時給に含む「労使協定方式」を採用している派遣元企業が80%以上を占めていることも、多くの派遣社員にボーナスが支給されない理由です。

派遣社員のボーナスに影響する「同一労働同一賃金」とは

上記で触れた、「同一労働同一賃金」について詳しく解説していきます。

「同一労働同一賃金」とは、同じ企業で働き、同じ仕事内容をこなしている従業員に対しては、正規雇用・非正規雇用に関わらず同じ賃金を支給すべきという考え方です。

「同一労働同一賃金」が施行された背景には、派遣社員をはじめとする非正規雇用労働者と正社員との待遇差の問題がありました。正社員と同じ業務内容や責任範囲を担っているにも関わらず、派遣社員というだけで給与が低い・ボーナスなしといった不公平があったのです。

このような背景から、2020年4月に「パートタイム・有期雇用労働法」と「労働者派遣法」が施行され、それとともに厚生労働省は同一労働同一賃金の実現を目指しています。

派遣社員ならではの不合理を生じさせないための「派遣先均等・均衡方式」「労使協定方式」の2つの賃金方式について、以下で詳しく見てみましょう。

賃金方式① 派遣先均等・均衡方式

「派遣先均等・均衡方式」とは、派遣先企業の正社員と同じ業務内容や責任領域を担う派遣社員には、正社員と同じ待遇、異なる場合はそれに応じた待遇をするという方式です。

この方式は派遣先企業の給与体系がベースとなるため、派遣先にボーナス制度があれば派遣社員もボーナスの支給を受けられます。ただし派遣先ごとに給与は変わるため、所得が安定しなかったり、希望する待遇を受けられなかったりする可能性もあるでしょう。

派遣元企業には、派遣社員の比較対象として、派遣先企業で働く通常の社員の待遇に関する情報が提供されます。派遣元企業はこの情報をもとに、派遣社員に対する均等・均衡な待遇の検討を行います。

賃金方式② 労使協定方式

多くの派遣元企業が採用している「労使協定方式」は、派遣元と過半数労働組合(組合がなければ過半数代表者)が派遣社員の待遇を決め、労使協定を結ぶ方式です。

この方式では、同じ職種・業務で働く一般的な労働者と同等以上であることを前提に、業務内容や能力などで定められた基準をもとに、待遇が決まるのが特徴です。ボーナスについては多くの場合、基本給に含まれる形になります。

「派遣先均等・均衡方式」のように派遣先企業ごとで給与は変わらないため、派遣先の条件に影響されることなく、どこの派遣先でも同じ条件で働けるでしょう。

派遣社員でボーナスをもらうには


派遣社員のボーナスは基本給に含まれるケースが多いものの、派遣元・派遣先企業のボーナス支給の規定や、給料の支払い方式によっては正社員と同じ方法で受け取れる場合があります。派遣社員の方が給与とは別にまとまった額のボーナスを受け取るには以下の2つの方法が考えられるでしょう。

  • 常用型派遣(無期雇用派遣)として働く
  • 紹介予定派遣として働く

それぞれ詳しく解説します。

常用型派遣(無期雇用派遣)として働く

常用型派遣(無期雇用派遣)は、派遣元企業と労働者のあいだで期間の定めのない雇用契約を結ぶ雇用形態を言います。派遣元企業の正社員と同じような扱いになるため、ボーナス制度のある派遣元会社であれば、条件を満たすことでボーナスの受け取りが可能です。

対する登録型派遣(有期雇用派遣)は、派遣先企業で期間を定めて働き、なおかつ働いている期間のみ契約が結ばれる雇用形態です。このため、正社員によくあるボーナスの支給条件では当てはまる可能性が低くなってしまうでしょう。

常用型派遣は、派遣先との契約が終了しても派遣元企業での雇用は継続され、次の就業先が見つかるまでの期間も給与が支払われます。このように、ボーナスを受け取れる可能性があるだけでなく収入面で安定しているのもメリットです。

紹介予定派遣として働く

紹介予定派遣とは、派遣として派遣先企業で最長6ヵ月働き、派遣期間終了後に双方が合意した場合は派遣先企業での直接雇用へ切り替えられる雇用形態のことです。直接雇用先の企業がボーナス制度を採用している場合は規定に則ってボーナスを受け取れます。

派遣社員として一定期間働くあいだに、実際の仕事内容や職場環境を知れるのが紹介予定派遣の大きなメリットです。直接雇用のタイミングで契約条件が変わることもあるため、ボーナスを含む福利厚生についてはあらかじめ確認しておきましょう。

ただし、紹介型派遣だからといって必ずしも直接雇用が決まるわけではありません。派遣期間終了後に採用面接がある場合や、就業中の勤務態度などが考慮され不採用になるケースもあります。

派遣の働き方については、以下の記事を参考にしてみてください。

派遣社員のボーナスについて|まとめ

ボーナスの支給は法律で定められておらず、企業や企業の業績によって支給されるかが異なります。派遣会社(派遣元企業)がボーナス制度を導入しており、かつ支給条件に当てはまれば、雇用形態に関係なく派遣社員でもボーナスが支給されます。

ただし、派遣社員という働き方の特性上、支給条件に当てはまらなかったり、給与の中にボーナスが含まれていることが多かったりと、実際には夏冬等にまとまった額のボーナスが支給されることは少ない傾向にあります。

給与に含まれているため実質的な総支給額では変わりませんが、ボーナスとして給与とは別に欲しい!という場合は雇用期間の定めのない常用型派遣や、派遣先の直接雇用をめざす紹介予定派遣として働く方法があります。

ライフスタイルや希望の働き方やモチベーション等を踏まえて、改めて派遣社員としての働き方を考えてみるのも良いかもしれません。

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この記事を書いた人

ワークスタッフ コラム制作チーム

人材派遣業務を展開しているワークスタッフのコラム制作チームです。人材派遣に関連した情報をコラムを通じてお届けします。平成10年から携わってきた労働者派遣に関する情報を、当社の経験を踏まえて正しくわかりやすくお伝えします。